【本州編】大阪駅から佐多岬まで900km歩く旅|大阪駅〜明石市

過去最大距離への挑戦,始まる

旅の始まりは、大阪駅から。

過去最長だった徒歩旅は、およそ520km。
しかし今回挑戦するのは、その約2倍にも迫る距離だ。

これまでの長距離ウォークで、睡眠や食糧事情、足のケアについてはある程度経験を積んできた。
雨の中を歩くことも、仮眠を繰り返しながら進むことも、想定の範囲内ではある。

それでも、不安は大きい。

単純に、“距離”が長いから。

これまで最長だった徒歩旅を「折り返し地点」と考えると、今回の挑戦がどれほど無謀かよく分かる。
本当に歩き切れるのか…。
それだけが、ずっと頭の中にあった。

ただ,スタート地点に来れば不安も薄れるもので,

  「これから、とんでもない旅が始まる…!」

そんな高揚感が込み上げてくる。

距離も、ルートも、制限時間も無謀。
だが、その無謀さこそが逆にモチベーションになる。

 「う~!ワクワクしてきた!」

 

静かな早朝,大阪を歩き出す

出発した朝の大阪駅周辺は驚くほど静かだった。

土曜日の早朝。
天気は快晴。風もほとんどない。

半袖に薄いウィンドブレーカーがちょうど良い気温で、まさに理想的なウォーキング日和。

 「これがずっと続いてくれたら最高なのに…」

そう思いながら歩き始めたが、日が昇るにつれて気温も上がり、汗ばんでくる。
半袖だけでも暑い…。

都会らしい整備された広い歩道を進みながら、まだ一度も上陸したことのない淡路島、四国、そして九州の景色を想像する。
この先には、どんな道があるのか。
少なくとも、今歩いているような綺麗で整った歩道は、ほとんど無いだろうが…。

大阪グルメは今回はスルー。
淡々と西へ進む。

今回の旅の本番は四国と九州だ。
何度か訪れたことのある大阪を満喫するより、まだ体力と精神に余裕があるうちに少しでも先へ進みたかった。

それと長旅になる以上、できるだけ出費は抑えたい。
交通費こそかからないが、徒歩旅は食費が意外とかかる。

今回は家で握ってきたおにぎりを5個持参していたので、まずはそれを消費していく。

9時頃、尼崎中央商店街へ立ち寄る。

ずっと屋根が続くアーケードは、雨の日でも歩きやすそうだ。
まだ開いていない店も多かったが、商店街には独特の活気があった。

昔ながらの喫茶店。
揚げ物の匂い。
焼きたてパンの香り。

両側から様々な食べ物の匂いが漂ってきて、あちこち寄り道をしそうになる。

ただ、まだスタートしたばかり。今は歩くのを優先。
改めて観光に来ようと思う。

 

まだ着かない、終わらない兵庫県

兵庫県に入るのはあっという間だった。

しかし、そこからが長かった。

神戸。
三ノ宮。
そして明石。

地図で見れば近く感じていた場所が、実際に歩くと驚くほど遠い。

 「昼間のうちには余裕で明石に着くだろう」

なんて考えていたが,現実は甘くなかった…。

まだ初日。
体力も精神も最も余裕があるタイミング。

それなのに、ここまで長く感じる。

 「本当に歩き切れるよね…?」

不安というより、“恐怖”に近い感覚。
なるべく残り距離を考えないようにしていても、歩いていれば自然と頭に浮かんでしまう。

長距離ウォークというのは、ただ脚力があればできるものではない。
折れない覚悟と精神力が必要だ。

ここにきて,ワクワクと同じくらいの緊張感を持つこととなった。

 

夕暮れの明石海峡大橋

夕暮れ時、ようやく明石海峡大橋へ到着した。

初めて見る明石海峡大橋は、想像以上に巨大だった。

しかも、その背後には夕日。

オレンジ色に染まる空と、澄んだ水色の海がゆっくりと混ざり合い、幻想的なグラデーションを作り出していた。

巨大な橋はただそこに存在しているだけなのに、圧倒的な迫力がある。
「大橋」という名前に全く負けていない。
高い技術で作られたことが、素人目にも分かるほどだった。

橋を眺めるために立ち寄ったアジュール舞子には、多くの人が集まっていた。

橋を背景に写真撮影する新郎新婦。
ギターを弾きながら歌うおじさん。
砂浜に寝転び、静かに橋を見上げる人。

みんなが、それぞれ自由に同じ景色を楽しんでいる。
その空間に、自分も自然と溶け込めている気がして、少し嬉しかった。

橋をくぐって明石港へ向かう。

下からもじっくり橋を眺めつつ進む。
普段見ることのないアングル。

それもまた、徒歩旅ならでは。

ゆっくりと暗くなっていく空を見ながら、記念すべき初日が終わっていく寂しさも感じていた。

 

淡路島へ、未知の土地の始まり

日が沈み薄暗くなった頃,本州の最終地点,明石港へ到着。
ここから淡路ジェノバラインへ乗船して,淡路島へ向かう。

正直、想像以上に時間がかかってしまった…。
明るいうちに淡路島へ上陸したかったが,フェリーへ乗る頃にはすでに夜。

体力ではなく、“時間”への不安が大きくなる。

このペースで、本当に佐多岬まで間に合うのか。

ただ、身体にはまだ余裕がある。

焦りすぎず、しかし気を抜かず。
改めて気合を入れ直す。

フェリーの甲板は震えるほど寒く、他の乗客はいなかった。
ただ,ライトアップされた橋の美しさを、しばらく堪能した。

そして近づいてくる淡路島。

ここから先は、完全に未踏の地だ。

 「ここからがこの旅の本番かもしれない」

そう感じながら、船を降りる最初の一歩を強く踏み出した。

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